「マーケティングの本質~学び、生み出すマーケティングノート」ケーススタディより抜粋
“彼らは毎週金曜午前中に「なぜビール会社なのか?」に向き合う時間を設け議論を積み重ねていきました。無からはじまった時間は多くの月日あえてアウトプット無しに内省化する時間に費やされました。
そして想いと考えが熟しきった日を境に「クラフトビール」への考え方や「スプリングバレー・ブルワリー」「タップマルシェ」「ホームタップ」が生まれて行きました。
その根底にあるのは徹底した顧客志向すなわちマーケティングです。
アサヒが大規模な顧客調査からスーパードライを生み出した。であれば、キリンは更に顧客に近づくんだ。ダイレクトに繋がろう。仙台工場の被災によって顧客とキリンがコミュニティという場で繋がっていることを実感したキリンにはその確信がありました。だから代官山にスプリングバレー・ブルワリーを設立しました。
ホームタップで顧客の住むお家までビールを届けることにしました。
全てはダイレクトに顧客とつながる。最も本質的なマーケティングを行うことを選択したのです。そしてその一つ一つが積み重なって気がつけば2019年アサヒに奪われたビール業界首位の座をついに奪還しました。
この奪還はアサヒのマーケティングがモノのマーケティングだとしたらキリンのマーケティングは人、地域のマーケティングでありこれからの時代を暗示するマーケティングの姿とも言えます。”
(マーケティングの本質~学び、生み出すマーケティングノート(産業能率大学出版部)190頁より抜粋)